Webテストに関するナッシュ均衡

就職活動では性格診断、能力検査などなどWebテストが行われることがあります。

 

就職活動生はそれに対策するべきか否かという問題があります。

 

今、同じ能力を持っており、「対策をする手間<通過すること」を価値観として持っている2人の就活生しか世界に居ないとします。

 

その場合の最適な戦略はどうなるでしょうか?

 

それぞれのプレイヤーをP1、P2とし、()の中は(P1の利得,P2の利得)とします。

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①二人とも対策をしない場合(右下のセル)

同じ能力であり、対策をする手間がかからず、最も利得が高くなると考えられるので(4,4)とします。

 

②片方だけが対策をする場合(右上、左下のセル)

次にP1が対策をして、P2が対策をしない(右上のセル)場合、P1は勉強をする手間がかかるにしても、対策をしていないP2に比べて通過する可能性が高まり、P2にとって①の場合と同様対策をしないにしても、通過の可能性が低くなるので(3,1)とします。

 

③二人とも対策をする場合(左上のセル)

対策をしないのに比べて手間がかかるので、二人とも対策をしない場合と比べて利得は下がります。しかし、対策してでも合格の可能性が高いという価値観を持っているので、それぞれの利得は1よりも高い(2,2)とします。

 

そうすると、P1について見ると、P2がどちらの戦略を取ってきたとしても『対策する』ほうが利得が高くなり、『対策する』のが支配戦略(他のプレイヤーがとる戦略の組のすべてに対して最適な反応となっているような戦略)という事になります。

P1、P2どちらにとってもそう言えるので、左上の(2,2)がナッシュ均衡となる。

 

この状態はパレート改善(誰の利得も下げること無く、自分の利得を上げること)可能であり(右下のセルの状態になるなら、誰の利得も下がらず、自分の利得が上がる)、パレート最適ではないが、現実これがナッシュ均衡となってしまっている。

 

二人とも対策をしないとかいう協定を結べばいいわけではあるが、現実世界に一般化したときに、他の就活生全員と協定を結べるわけではない。

 

従って対策をするのが合理的であると言える。

 

ただし、現実世界には例外もあります。

対策なんかせんでも通過出来る人にとっては、対策の時間がもったいないからしない方がいいともいえるので。

 

世の中を構造的に把握して、”せめて合理的”には生きたいですねって言いたかった。